初めて数学ガールを手にしました。秘密ノートとただの数学ガールの2種類があり、秘密ノートの方が優しめの内容らしいのでこちらから読んでみることに。

数式の世界とそれ以外の世界で解は行き来する

内容は連立方程式と比例、反比例のグラフが分かれば読めます。これは中学生の方の時に読みたかったですね。この本は数学の説明ではなく、説明の過程が参考になる本でした。例えば、2つの命題が同値であるかを説明する時に、命題Aは「数式の世界の話」、命題Bは「図/グラフの世界の話」というように、数や式が出てきた時に、それはどの世界の話かを教えてくれます。そして、この2つの命題によって異なる世界を行き来している。このようにして、知識や物事がつながっていく過程を見せてくれました。

今考えていること、関係しているものは何か?それはどの世界のでの話かを意識して命題を作ります。解きたい命題を、数式の命題に落とし込んでそこで解を得る。その解を数式の世界から、本来の求めたいものがある世界に持ってきて本当の解となります。数式の世界とそれ以外の世界。これを分けて考えるのはとても大事なことですね。これを学生当時に読んでいれば、もっと理解しやすかったでしょう。さらに言えば数学を楽しんでいたでしょう。

異なる世界が繋がると話は面白い

お兄ちゃんの話がおもしろいのは、<式の形>と<グラフの形>を行ったり来たりするからなの

近所の少女、ユーリが言った一言。これは物事の繋がりを知れるということだと思う。数学だけでなく、脚本でも伏線の回収が上手いと面白いのは、これに似ている気がする。これが何と繋がっているかを見つけるまでが学習の大変さだと思う。そこを教えてあげれば、後は勝手に伸びていくだろう。挫折する人は、これを見つけられるかどうかだと思う。新しく自分で見つけるのは連想ゲームのようだ。

さきほど世界を行き来する話を挙げた。この2つの世界を相手と自分で置き換えてみると、分かりやすく説明できるようになるだろう。相手の知っているものと、自分の知っているものを繋げると腑に落ちやすい。相手が自分の世界と新しい知識が繋がった瞬間、知って理解する楽しみが伝えられるかもしれない。

私はこの本に出てきた、方程式の中に面積を見出すのが面白かったです。特に反比例のグラフの点は、常に同じ面積の長方形を作っていることは驚きました。面積は縦と横の積で求まる。求め方は同じなのに、見えてくるものが広がった気がします。長方形をイメージに使うことで、より記憶に結びつきやすくなると思いました。私にとってグラフと面積は、まだ別の世界の話だったようです。いや、繋がっていなかったと言ったほうがいいかな。

計算過程を書くという思いやり

計算過程は採点者へのメッセージである。この本には、少女の問いにそう答えていました。方程式のイコールを揃えるのも、2に1を代入するという文章も、相手にしっかりと伝えるためです。文章だけではなく、数式の中にも思いやりというのを感じられます。「何でこんな面倒なことをしないと行けないの?」と言われたら、一度採点させてみましょう。相手が理解できていたら正解とする。子供はどうしたら、紙面上で相手が理解しているかを確認するでしょうか?答えが書いてあったら大丈夫?いえ、ちゃんと答えまで導き、思考の過程が書いてあった方が理解しているな思えますし、安心して丸をあげられるでしょう。解答もコミュニケーションであることを実際に感じてもらえれば、数学も楽しくなるのではと思います。